平松洋子さんとの新刊記念対談イベント直前! 最後の砦【新保信長】「食堂生まれ、外食育ち」《番外編》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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平松洋子さんとの新刊記念対談イベント直前! 最後の砦【新保信長】「食堂生まれ、外食育ち」《番外編》

【隔週連載】新保信長「食堂生まれ、外食育ち」《番外編》


「食堂生まれ、外食育ち」の編集者・新保信長さんが、外食にまつわるアレコレを綴っていく好評の連載エッセイ。ただし、いわゆるグルメエッセイとは違って「味には基本的に言及しない」というのがミソ。外食ならではの出来事や人間模様について、実家の食堂の思い出も含めて語られるささやかなドラマの数々。いつかあの時の〝外食〟の時空間へーー。【番外編】「最後の砦」をご賞味あれ!✴︎連載全50回がついに書籍化で絶賛発売中! 9月17日(火)19時〜 本屋B&B(下北沢)にて平松洋子さんとの新刊記念対談イベント開催。お見逃しなく!


イラスト:おくやま ゆか

 

【番外編】最後の砦

 

 特に忙しい時期でなければ、だいたい8時ぐらいに店じまいしてメシを食いに出るのが我が家のルーティンだ。たまに遠くまで足を延ばすこともある(といっても基本的に徒歩圏内で、電車に乗ってまで食事に行くことはめったにない)が、仕事場から自宅に向かう道すがらに点在する何軒かの飲食店をローテーション的に利用することが多い。

 ビストロ、イタリアン、台湾料理、高級中華、焼き鳥、居酒屋、インド料理、割烹など、そこそこのラインナップがそろっている。しかし、どこもそれほど大きい店ではなく、満席で入れないこともある。なかには何度も雑誌で紹介された人気店もあり、「今日はあの店にしよう」と夕方に予約の電話をしてもすでに満席というケースも珍しくない。満席じゃなくても、ある程度以上混んでいるとオペレーションが回らない店もあり、そういう場合は「今日はやめとこう」となる。

 とはいえ、順番に訪ねていけば、どこかしらには入れるものだ。仕事場と自宅の中間点ぐらいの比較的席数があるイタリアン、自宅をちょっと通り越した先の居酒屋は結構な確率で入れる。しかし、そこも団体客がいたりして満席のことがある。

 そんなときに頼りになるのが、某居酒屋だ。駅からちょっと離れていて、道路から少し奥まったところにある。だからといって“隠れ家”という雰囲気でもなく、オシャレさはゼロ。店頭には「雑誌・テレビの取材はお断りします」と貼り紙が出されているが、わざわざお断りするまでもなく、基本的に地元の人しか来ないタイプの店である。それほど広くはないが、まず満席にはならない。少なくとも私が行って入れなかったことはない。

 メニューは異常に豊富。もずく、イカ塩辛、エイヒレ、オニオンスライス、レーズンバターといったちょっとしたおつまみから、ポテサラ、大根帆立サラダ、ほうれん草サラダなどサラダ各種、サバ塩焼き、ほっけ焼き、ししゃも、イカの一夜干し、銀だら煮などの魚料理、焼き鳥も一通りあるし、唐揚げやコロッケ、牛タン、あらびきウインナーなどもある。

 さらに、野菜たっぷり餃子、野菜炒め、豚キムチ炒め、レバニラ炒め、ゴーヤチャンプルー、肉豆腐、たこ焼き、だし巻き、カレーライス、焼きそば、長崎皿うどんまで、何でもアリだ。レギュラーメニュー以外に「本日のおすすめ」として、各種お刺身、季節によってはアユ塩焼き、サンマ塩焼きなどもあり、お値段もリーズナブル。お酒も豊富で、日本酒と焼酎は数十種類がメニューに載っている。

 こう書くと、それこそ隠れた名店のように思われるかもしれない。実際、悪い店ではないと思う。ただ、名店かというとそうでもない。

次のページたぶんメニューの半分くらいはハッタリだと思う・・・

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✴︎本屋B&Bで9月17日(火)19時〜新刊記念イベント開催✴︎

新保信長さん × 平松洋子さん

「大阪どまんなかの食堂で生まれ、外食だけで育った男の話」 

詳細とお申し込みは以下Peatixから→https://bb240917a.peatix.com/

 

【出演者プロフィール】


新保信長(しんぼ・のぶなが)
1964年大阪生まれ。実家は堂島の食堂。東京大学文学部心理学科卒。編集者&ライター。編プロ、出版社勤務を経て1991年よりフリー。単行本やムックの編集・執筆を手がける。「南信長」名義でマンガ解説も。
著書に『国歌斉唱♪――「君が代」と世界の国歌はどう違う?』『虎バカ本の世界』『字が汚い!』『声が通らない!』ほか。南信長名義では『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』『1979年の奇跡 ガンダム、YMO、村上春樹』『漫画家の自画像』など。新刊に『メガネとデブキャラの漫画史』がある。

平松洋子(ひらまつ・ようこ)
1958年生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。2006年『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞、2012年『野蛮な読書』で講談社エッセイ賞、2022年『父のビスコ』で読売文学賞を受賞。『食べる私』『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』『酔いどれ卵とワイン』など著書多数。(写真:広瀬貴子)

子供の頃、親に連れていかれたデパートの大食堂。夜遅く仕事帰りに一人で入る牛丼屋。ここぞというデートや記念日に予約して行ったレストラン。気の置けない仲間と行く居酒屋……。そんな誰もが心当たりあるような懐かしくも愛しき「外食の時空間」を鮮やかに切り取ったエッセイ『食堂生まれ、外食育ち』(ベストセラーズ)が7月に発売されました。

その刊行を記念して、トークイベントを開催します。

出演は、同書の著者である編集者・ライターの新保信長さんとエッセイストの平松洋子さん。大阪の食堂生まれで外食だけで育った新保さん、外食も料理も大好きで食関連の著書多数の平松さんが、外食の醍醐味について語り合います。

イベント帰りにどこかのお店に寄りたくなること必至! 幸い場所は下北沢、お店には事欠きません。皆様のご参加をお待ちしております

※本イベントはご来店またはリアルタイム配信と見逃し視聴(1ヶ月)でご参加いただけるイベントです。詳細につきましてはページ下部をご確認ください。
※本イベントは、お二人によるトーク+質疑応答(90分)を予定しております。イベント終了後には、来店参加者限定で、サイン会を開催いたします。お二人の関連書籍をご購入またはご持参ください。

 

詳細とお申し込みは以下Peatixから→https://bb240917a.peatix.com/

 

✴︎KKベストセラーズの7月新刊✴︎

新保信長 著『食堂生まれ、外食育ち

作家・平松洋子さん推薦!!

「気配をスッと消し、食の現場をニヤリと斬る。

選ばしし外食者の至芸がすごい。」

外食歴50年超の著者が綴る異色の外食エッセイ!
一口に「外食」と言っても、いろんなシチュエーションがある。子供の頃に親に連れていかれたデパートの大食堂。夜遅く仕事帰りに一人で入る牛丼屋。ここぞというデートや記念日に予約して行ったレストラン。気の置けない仲間と行く居酒屋。たまの贅沢のカウンターの寿司屋。出先でたまたま入った定食屋。近所のなじみの中華屋や焼き鳥屋……。
誰もが心当たりあるような懐かしくも愛しき「外食の時空間」への旅が始まる!

カバー&本文イラスト描いたイラストレーターおくやまゆかさん。

イラストが最高に愉快!(全50点収録)

目次

序 「今日のごはん何?」と聞いたことがない

第1章 ノスタルジア食堂

1品目|外国人と鴨南蛮と中華そば
2品目|ランチタイム地獄変
3品目|「天丼」と「うどん天」と「シマ」
4品目|出前とデリバリー今昔物語
5品目|おでん定食というギャンブル
6品目|ハンバーグ記念日
7品目|おいしい味噌汁の条件
8品目|最高のおやつ
9品目|校外学舎の悲しき夕食
10品目|わんこスイカ
11品目|ところ変われば品変わる
12品目|「恵方巻」と「丸かぶり」
13品目|ちくわぶとはんぺん
14品目|「肉じゃが=おふくろの味」って誰が決めた?
15品目|スマホがなかった時代
16品目|Gに気をつけろ!

第2章 私が通りすぎた店

17品目|あの素晴らしい寿司屋をもう一度
18品目|気まぐれすぎる女将
19品目|選択肢のない店
20品目|日本一大きいビアガーデン
21品目|カニ・マイ・ラブ
22品目|国会図書館でナポリタンを
23品目|夫婦の肖像
24品目|サハリンの夜
25品目|インドで大炎上
26品目|開幕前の至福の宴
27品目|私がスポーツジムに通う理由
28品目|かわいそうな寿司屋とその弟子
29品目|残業メシ格差
30品目|よそンちの食卓はつらいよ
31品目|大食いと早食い
32品目| BGMも味のうち?

第3章 外食の流儀

33品目|大盛りはうれしくない
34品目|取り皿問題
35品目|デザート嫌い
36品目|お熱いのはお好き?
37品目|器のTPO
38品目|あんまり尽くされても困る
39品目|スパゲティがパスタに変わった日
40品目|何をかけるか問題
41品目|どの席に座るか問題
42品目|酒飲み認定
43品目|11人きた!
44品目|硬と軟
45品目|人はだいたい同じものを注文する
46品目|トングどっち向きに置く?
47品目|箸と愛国
48品目|ステキなタイミング
おわりに 入れなかったあの店の話

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新保信長

しんぼ のぶなが

流しの編集者&ライター

1964年大阪生まれ。東京大学文学部心理学科卒。流しの編集者&ライター。単行本やムックの編集・執筆を手がける。「南信長」名義でマンガ解説も。著書に『国歌斉唱♪――「君が代」と世界の国歌はどう違う?』『虎バカ本の世界』『字が汚い!』『声が通らない!』ほか。南信長名義では『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』『1979年の奇跡』など。新刊『漫画家の自画像』(左右社)が絶賛発売中です!

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  • 新保信長
  • 2024.07.05